死亡事故が発生したら、遺族の方が加害者へ損害賠償請求の手続きを進める必要があります。
死亡事故の場合、通常一般の交通事故より賠償金も高額になりますし、ご本人が賠償請求に関われないなどの特殊性があります。
今回は死亡事故の損害賠償請求における注意点とポイントを解説します。
このページの目次
1.死亡事故で請求できる賠償金
死亡事故が発生したら、以下のような賠償金を請求できます。
1-1.葬儀費用
被害者の葬儀にかかった費用です。法的基準の場合、150万円程度を限度として実際にかかった費用が支払われます。
1-2.死亡逸失利益
被害者が生きていたら得られたはずの収入に相当する賠償金です。被害者の事故前の収入や年齢に応じて計算します。
1-3.死亡慰謝料
被害者が死亡したことによって被害者や遺族が受ける精神的苦痛に対する賠償金です。
2.死亡事故では遺族がまとまる必要がある
死亡事故で加害者への損害賠償請求を進めるのは「相続人」です。まずは相続人調査を行って相続関係を確定し、相続人が全員まとまって保険会社との話し合いを進める必要があります。
任意保険会社との示談交渉でも自賠責保険への請求でも、相続人の代表者を定めて連絡をとりあわねばなりません。遺族がばらばらのままでは賠償請求を進められないので要注意です。
3.慰謝料計算方法についての注意点
死亡事故の賠償金計算方法には複数の基準があります。任意保険会社が採用する基準が適用されると、法的基準より大幅に減額される可能性があります。
たとえば法的基準と任意保険基準とで、死亡慰謝料に1,000万円程度の差額が発生するケースも少なくありません。
法的基準を適用するには弁護士に示談交渉を依頼するか訴訟で決着をつける必要があります。
できるだけ高額な賠償金を獲得するためには、弁護士に賠償金請求手続を依頼するのが得策といえます。
4.示談後の遺産分割協議における注意点
示談が成立したら、加害者の保険会社から賠償金を受け取ることとなります。賠償金は一括で支払われますが、受けとったお金は相続人間で分配しなければなりません。
その際には基本的に「法定相続分」に応じて分け合うのが基本です。
ただし、賠償金を他の遺産とともに「遺産分割協議」で分け方を決めることも可能です。
その際、未成年の子どもと亡くなった人の配偶者が相続人になっていたら、配偶者と子どもの利益が相反して「特別代理人」を選任しなければならないケースがあります。たとえば夫が亡くなって妻と子どもが相続する場合、母が子どもを代理して遺産分割協議を行うことは認められないのです。
特別代理人は家庭裁判所で選任する必要があります。
死亡事故の場合、賠償金の請求方法や分配方法で通常の事故とは異なる対処を要求されます。正しい進め方がわからない場合、対応に迷った場合などには弁護士までご相談下さい。