死亡事故を起こすと加害者には重い責任が発生します。
今回は死亡事故の加害者に発生する責任の種類や内容、程度について金沢の弁護士が解説します。
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1.免許取消処分
死亡事故を起こすと、加害者は基本的に免許取消処分を受けます。
日本の免許制度では「加点方式」が採用されており、点数が一定になると免許停止や取消処分となります。
人身事故の加害者には事故の結果や加害者の過失の程度に応じて免許の点数が加算されます。死亡事故の場合には、加害者にもっぱら過失があれば22点、それ以外の場合(被害者にも過失があった場合)でも15点が加算されます。これまでに前歴や累積点数のない方でも15点が加算されると一回で免許取消処分となり1年の欠格期間が発生します。ひき逃げや飲酒運転をしているとさらに高い点数が加算されて欠格期間が長くなります。
また危険運転によって死亡事故を引き起こした場合には62点が加算されて免許が取り消され、5年の欠格期間が発生します。
2.刑事責任
死亡事故を起こすと、加害者には刑事罰も適用されます。
適用される可能性が高いのは過失運転致死罪または危険運転致死罪です。
2-1.過失運転致死罪とは
過失運転致死罪は、前方不注視や不適切なハンドル・ブレーキ操作などの一般的な過失によって交通事故を起こしたときに成立する犯罪です。適用される刑罰は7年以下の懲役または100万円以下の罰金刑です。
2-2.危険運転致死罪とは
危険運転致死罪は、極めて危険な方法で運転をして交通事故を起こしたときに成立する犯罪です。たとえば酩酊状態や薬物によって正常な運転ができない状態で運転したり、高スピードで交差点に突っ込んでいったり無免許で交通事故を起こしたりしたときに適用されます。
危険運転致死罪の刑罰は1年以上の有期懲役刑となります(上限は20年)。
また加害者がひき逃げをしたり飲酒運転をしていたりすると、上記よりさらに重い罪が適用されます。
3.民事責任
交通事故の加害者には民事責任も発生します。これは被害者へ損害賠償金を支払うべき責任です。
加害者が任意保険に加入している場合には任意保険会社が被害者へ賠償金を払うので加害者が自分で賠償金を支払う必要はありませんが、保険に加入していない場合には、自賠責保険の限度額を超える分を自分で払わねばなりません。
死亡事故の被害者のご遺族は、加害者の刑事処分がどうなったのかなど知りたい方も多いでしょう。加害者を赦せない思いの強い方、加害者の刑事処分がどうなったのか知りたい方などは、加害者の刑事裁判への被害者参加なども検討されてはいかがでしょうか?よければ一度ご相談下さい。